Fuji to Higanzakura

料理簡易記録、ときどき、?

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

紫からどこにいく?

赤ちゃんの頃の火傷で足が悪かったので、小さい頃から、一人で身をたてさせることを考えてお茶とお華に通わされたそうだ。家が裕福だったわけではないので、お稽古事としてではなく、将来の職業を見込んで。年頃になって、お嬢様のお稽古事として他の娘さん…

行き違いでなく

義兄が掃除してくれた奥の座敷で湯灌と納棺をした。義兄は窓まで拭いてくれてあった。もうずっと物置になっていたけれど、本当は家で一番格があった部屋。広くて明るい部屋で、お風呂に入って着替えさせてもらって棺に入った。 10日くらい前から、父が塀の…

間歇泉

昭和時代の母娘関係なんて、きれいごとでは済まない。その時々の怒りやらや悔しさやら、ちゃんと覚えておいた方がボケないかな、それとも、そこだけ覚えてるとボケるかな。 まぁどうでもいいや。 寂しいはある。悲しいはない。間歇泉発作が時々ある。ああ自…

母と添い寝する方法

ドライアイスのお兄さんが来たとき、母の身体はまだほんのりあたたかかった。 母ベッドと並んで奥に介護者のベッドがあるのを見て、「誰かここで休まれるんですか?」と聞くので、「はい、私が」と答えたら「寝ない方がいいですよ。ドライアイスで二酸化炭素…

綺麗でびっくりしたってよ

介護士の方が、訪問診察をずっとしてくれていたお医者さんに連絡をとってくれ、先生が来て宣告をいただいた。(在宅看取りの場合は救急車を呼んだりして別のお医者さんからの死亡診断になると警察介入になって大変らしい。) 苦しそうな気配が微塵もない綺麗…

時は選ばれていたのかな こちらの納得とは別に

姉は、ちょっととぼけている、というか、人騒がせというか、職業柄6桁の値段のスーツとかが仕事着なのだが、そんなスーツにも平気で食べ物をこぼすし、隣で義兄が、あーまたー、とやいやい面倒を見ている、そんなのが日常図のような人で。 母寝室には、母の…

ピンクがお似合い

介護士の方が、母親から、経鼻栄養チューブ、酸素チューブ、尿カテーテルを全部外してくれた。父は、なにやら母に語りかけていた。いつも突然で人騒がせな人ですね、このくらいの面倒は気にしなくてもいいのに、とか。 そういえば、こんなにチューブにつなが…

虎と蘭とでなく、蘭だけが発った

実家の賀状は、毎年、父親が温室の蘭を写真に撮って印刷していた。今年の蘭写真はない。切り花で玄関にあったものも、何度かふっと思ってはやめて自分も撮ってない。 喪中用の葉書を買いにいった父が、「(郵便局で)こんなのがありますよ、と出してくれたけ…

人と牛と蘭に通底するもの(4)

先の記事で、蘭は全滅した、と書いたが、正確には数鉢だけサバイブして花を咲かせた。全部を切り花にして父はそれを家に持ち混んだ。温室の中は、それで全き廃墟になった。 切った蘭の花を、水に挿してくれと言われ、花瓶に挿した。母寝室に花を欠かさずに活…

人と牛と蘭に通底するもの(3)

「摘便とお花見」や「在宅無限大」など、在宅ケアについて現象学的アプローチをされている村上靖彦氏の「ケアとは何か」を、ふとポチして購入し、つらつら読んでいる。 ALSで筋力が衰えて<からだ>をまったく動かすこともできなくなる「閉じ込め症候群」に…

人と牛と蘭に通底するもの(2)

私や姉などは、母が、こんなのをちょっと食べたとか、お花をじっと見てた、といった次元で母とコンタクトし(ようとし)ていた。 母は、アンデルセン童話かなにかにある、歓待をうけて10枚重ねのふかふか布団で休んだお姫さまが、朝、ぜんぜん眠れなかった…

人と牛と蘭に通底するもの(1)

母が脳梗塞になって意思疎通がほとんどとれなくなる以前、心不全はすでに末期で、寝付いていたけれど、室内トイレを入れても母はかたくなにそれは使わずトイレまで歩いていった。だんだんとベッドから起きてトイレまで歩くにしても人の助けがいるようになっ…

万霊節の日に

母が逝った。万霊節の日に。 2週ほどか、少し熱が続いていて、反応レベルの水準は下がっていたし、舌も喉奥に落ち込んでいた。でも、家に戻ってきたばかりの頃もそうだったところから、母なりのレベルでちゃんと覚醒して良くなったからね。血液検査の感染症…