Fuji to Higanzakura

料理簡易記録、ときどき、?

月の花

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母親が昨年秋口から寝付いた。師走に入院、自主退院を経て、年末から在宅で訪問看護のお世話になりだした。4月の桜の咲いていた頃には、左脳ほとんどに及ぶ脳梗塞を併発し再入院して、その後また家に戻った。言語は全喪失、右半身まひ、左腕と手がわずかに動かせるくらいで、寝がえりを打つことももうない。

意思疎通は、家族や世話してくれる人たちなど、愛着的思い込み半分入って、わかってるみたいわかってるねこれは、と、受け手の主観世界の中で、成り立っている。

意外と、多分傍で思うよりも悲壮感はない、よ。

オムツ替えも、介護の人でなく家族がするのは、最初の頃はいやがっているように感じたけれど、最近は双方慣れてきて「狸寝入りしててねー」って言うとしてくれます笑

赤ちゃんの頃にやけどしたという両足はケロイドでいつも角化した固い皮があっちこっちでこぼこぎざぎざ出ているような足だったけれど、今は、訪問お風呂サービスやら、介護の人が日々クリームを塗ってくれるやらで、寝付いて1年近くたった今や、やけどの足の形の変形はそのままだけれど、自分が、これまで母の足でこんなのは見たこともないというくらいに、かかとまでつるつる。皮をむいたニンニクのきれいさです。すごいねー高級エステだねママちゃん。身体をひねったりはもうできないから、本人は、見えないけど。「綺麗だねぇ、美人さんだねぇ」ってこちらは触りながら言うから、左足の感覚からは、少しは感じてる、かもしれない。

もの心ついたときから足のやけどもあり、色々コンプレックスありまくり、自己卑下はじめていじけだすと底なしで、まわりを困らせることもさんざんやって、ここに来て、言葉もなくそこにいるだけで愛されまくっているけれど、でも、本人的にどう感じているかは、わからない。そんな世界にいる。

家族など、人が話しかけて、それに対して視線の焦点をあわせて、以前の茶目っ気のある表情をするときもあるけれど、そういう対人的な世界に合わせた反応は、脳が疲労するのか、長くは続かずすぐ眠ってしまう。

おまじないで、アーシングやらそのほかの代替医療器具も使ったりしているけれど、今の脳に一番いい効果を与えているのは花みたいな気がする、よ。訪問介護のおねえさんたちとも意見の一致を見た。「なんか花は、じっと見てるよね。」「うん見てる見てる。」と言い合ったり。

左側しか向けないので、左のベットの手すりにつけたすぐ近くと、その向こうの障子上方にかけた花瓶と、二か所に活けておくと、こっちの花とあっちの花を交互に長いこと見ている。

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花との対話は疲労しない様子。火星通信みたいにお花通信をしている。

お空の月を、見ることはもうないけれど。

今夜のお月さまみたいな黄色い丸いマムだよ。

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